必修科目

1年生の秋学期は、Core とよばれる必修科目を履修します。2017年度には5 科目の必修科目に加え、選択科目1科目(15.401, 15.761または15.900)を履修しました。

15.010 Economic Analysis for Business Decisions
15.060 Data, Models & Decisions(DMD)
15.280 Communication for Leaders
15.311 Organizational Processes(OP)
15.515 Financial Accounting
15.401 Managerial Finance (選択科目)
15.761 Introduction to Operations(選択科目)
15.900 Competitive Strategy  (選択科目)

選択科目は、基本的にはワークロードを考慮して、興味のあるほうを選択すれば良いと思います。が、将来Finance分野を専攻したい方、Finance 系の科目に興味のある方は、ここで必ず15.401 を選択することをお勧めします。春学期以降で、一連のFinance 系科目(M&A など)を選択する際に、15.401 履修がPre-requisite とされるからです。同様に、Operations and Manufacturing 分野に行きたい場合やStrategy関連の授業を今後とっていきたい場合はそれぞれ15.716、15.900 をとることで春学期以降にPre-requisiteが必要な授業を取っていくことができます。

秋学期の授業はすべてOcean と呼ばれる60 人程度のクラス単位で受講し、宿題や授業の準備はオリエンテーション時に発表された6-7名のチーム単位で行います。

代替

15.010 Economic Analysis for Business Decisions

ミクロ経済学の授業で、コア必修科目の一つ。ミクロ経済学がカバーする様々なトピックのうち、経営上の意思決定に役立つ分析枠組(需要分析、生産コスト構造分析、市場支配力と価格戦略、ゲーム理論等)に焦点を絞って学びます。
授業は、経済学初学者でも学習対象の分析枠組を十分理解出来るよう設計されています。20回の講義で理論の本質・限界について丁寧に説明がなされた後、補講および宿題(教科書・問題集に載っている問題を解く)を通じて、当該理論への理解を深めます。
更に、理解した分析枠組を意思決定のツールとして活用する力がつくよう、授業に工夫が凝らされています。例えば、新しいアルミニウム精錬所の建設可否に関するケース分析では、市場供給曲線の理解を踏まえて、世界のアルミニウム精錬所のコスト構造データからマーケットの供給曲線を実際にプロットします。その上で、新精錬所建設後の市場均衡点における将来CFの割引現在価値を計算し、建設可否の意思決定を行います。このようなケース分析の他、日ごろの授業においても、Wall Street Journalに掲載されたニュースを学んだばかりの分析枠組を用いて分析し自分の見解を発言することが求められています。
私は日本での学部時代に経済学をかなり勉強しましたが、ミクロ経済学がビジネス上の様々な局面で有用な意思決定ツールとなり得るという点は、この授業で初めて実感させられました。この意味で、経済学を既に学んだことのある方にもお勧めできる授業です。
なお、本授業の理解を踏まえて2学期以降に選択可能となるIndustrial Economics for Strategic Decisionsでは、ミクロ経済学の分析枠組を用いた戦略的意思決定について更に深く学ぶことが出来ます。【M.S. MBA12】

15.060 Data, Models & Decisions(DMD)

いわゆる統計学の基礎コース。各種確率分布の応用、回帰分析、複数制約条件下の最適化などの項目をカバーする。MITは一般にQuantitativeなアプローチに強い傾向がありますが、Financeなどと共にその基礎をなすコースと言えます(オペレーション、システムダイナミクスなどの看板授業のPrerequisite)。
他のSloanの授業とも共通していますが、
(予習) → 授業にて分析の理論・ツールを講義 → 習ったことを実際に自分・チームで手を動かしてやってみる宿題(ケース)が課される
という流れでコースが組み立てられており、論理を学ぶとともに「実際にビジネスにおいてどんなふうに習ったことがワークするのか」を強く意識されられるコースです。授業では、そもそもの理論の背景、それぞれの公式・分析が何を意味しているのか、分析から導けることとその限界、をしっかりカバーしていくため、文系初修者でも十分に理論的な理解を深めることができます。MBA以前にも実務で回帰分析や確率を織り込んだ期待値計算、リスク量の計算などを扱ったこともありましたが、正確な分析の理解を通して、過去いかに曖昧に分析結果を扱っていたかを気づかされることも多くありました。

また、宿題や授業中に扱う事例も、無味乾燥な数学的な事例ではなく、

・過去の売上データが与えられたとき、欠品リスクを一定に抑えるためにはどの程度の在庫を持っておくべきか?
・複数の投資資産を持つことで、どの程度リスクを減少させることができるか?(ファイナンスの授業とも連動)
・原材料のSupply, Cost, 最終製品のDemand, 工場のCapacity、エネルギー使用量、CO2の排出量などの諸要件をかんがみた時、どの工場でどれだけ生産することが利益の最大化及びCO2排出量の最小化につながるか?
・一定の人数の村において、サンプル調査を行う際に、一定の精度を求めるためにはどの程度の標本抽出が必要か? といった、実務的な事例・ケースを扱うため、実践的なコースと言えます。

Rigorous な論理と、Practicalな適用を自分たちの手を動かして学んでいく、Minds and HandsをモットーとするMIT Sloanらしい授業です。【Y.M. MBA’12】

15.280 Communication for Leaders

1年生の秋学期、Core Semesterの必修科目の1つ。ビジネスにおけるOral、Written、Presentationを含む総合的コミュニケーションについて理論の学習と実践を行う科目。講義はWorkshop形式であり、授業前半に理論の講義、後半にディスカッションやロールプレイでの実践が行われる。クラスはOceanをさらに半分に分けた約30名で構成され、各人の積極的な参加が求められる。

講義内容は、TPOにあわせたコミュニケーションの戦略と構造、プレゼンのストラクチャー/デリバリー/スライド、ビジネスライティング、異文化コミュニケーション等、総合的かつ多岐に渡る。また、実際に手と口を動かすことに主眼があり、講義に加え、ほぼ隔週のペースでレポート・メモの提出(合計5回)とプレゼン(スライド使用・不使用・チームプレゼンの合計3回)を行う。さらに、Communication Labと呼ばれる週1回50分の必修補完授業があり、ここではコアチーム単位でさらに実践的なトレーニングを行う。試験はなく、成績はこれらの提出物・プレゼンと授業参加によって評価される。

講義アウトラインは以下の通り。学生の就職活動とも一部リンクした内容となっており、レジュメ、カバーレターやインタビューも授業で取り扱う。

・Communication Strategy and Structure
・Oral Presentations / Visual Aids
・Writing Process / Writing Style and Tone
・Cover Letters / Resumes
・Intercultural Communication
・Active and Reflective Listening
・Leadership, Communication and Ethics
・Interviewing Strategies and Skills
・Communication : Media Choice

【T.K. MBA’12】

15.311 Organizational Processes(OP)

いわゆる組織論で、15.280と合わせてソフトスキルにフォーカスしています。授業では西洋と東洋の比較を古典的にやったり、目新しいところはあまり多くはないかもしれませんが、各国のクラスメイトとのディスカッションに参加する中で発見もありますし、自分の経験をシェアすることで授業に貢献できると思います。

なお、2010年現在、15.311の中にチームプロジェクトも統合されています。私はプロジェクトのリーダーを務めました。9月の授業開始早々、自分たちでターゲットを決め、アプローチした結果、ボストンのNPOのボードメンバーに対してのコンサルティングをやることになりました。10名ほどのメンバーにインタビューを行い、得られた情報を分析し、12月に組織の視点から改善案をレポートにまとめました。

インターナショナルの学生は、プロジェクトではなかなか貢献が難しいこともあると思います。というのも、対象組織とのコミュニケーションは当然のことながらビジネスレベルの語学力を求められ、インタビューでもリードを取ったりノートを担当します。レポートも中間報告を含め、一定量のライティングを数回こなすことになります。

また、本科目は授業で組織行動論の視点を得て、チームプロジェクトでは対象組織のコンサルティングに取り組みつつ、定期的に自分たちのチームワークに対しても振り返りの機会を持つようになっているので、自然と実践しつつ学ぶことができる科目です。ついネイティブのメンバーに頼りがちになりますが、しっかり取り組めば、それだけの結果が返ってくると思います。 【T.K. MBA’12】

15.515 Financial Accounting

企業会計の基礎を固めるための必修科目です。授業で扱う範囲は、財務諸表の読み方から売上計上基準、減価償却、税効果会計、リース会計等まで幅広く、レクチャーを中心としつつ、特定の企業を題材とするケースもあり、学生の授業への積極的な参加が求められています。この科目は、財務諸表を一から作ることや会計士になることは目的としておらず、財務諸表を分析する立場として、財務諸表を的確に分析すること、作成者の意図や倫理観を探ること、また株主、監査法人、従業員への影響を考えさせることを主眼としています。2010年秋学期ではBausche&Lomb, Singapore Airline, First National Bank, Microsoft, Cisco, Wolrdcom等が授業で取り上げられました。

Joe Weberは何度もTeaching Awardを受賞したことがある教授で、上手く学生を授業に巻き込み軽妙なジョークも交えつつ授業を進めるので、退屈しがちな内容ですが全く飽きませんでした。最終授業ではJoeが学生の写真をプレゼンに交えながら学習内容を振り返り、最後まで笑いが絶えずスタンディングオベーションで幕を閉じました。

毎週提出する個人による宿題に加えて、リーディングアサイメントもほぼ毎週ありました。中間および期末に試験があります。【Y.H. MBA’12】

15.401 Managerial Finance (選択科目)

金融理論の基礎が学べます。債券、株、NPV、オプションに始まり、CAPM、VC Valuationまで幅広くカバー。理論フォーカスのクラスで、レクチャーの割合はやや高め(レクチャー70%、ケース30%)。コンセプトの理解に時間を取ります。ケースが宿題にあたり、授業で習った考え方を使って、2ページ程度のメモを提出。AdvancedのFinanceのクラスを受講するうえでの必修科目となっています。レクチャーしている教授は直近では、Andrew Lo、Adrien Verdelhanと人気教授ばかり。理論はちょっとという人は、ケース重視・より現実世界に重きを置いた15.402 Corporate Financeがおススメ(15.401のadvanced、コア以降に履修可能)。【T.M. MBA’19】

15.761 Introduction to Operations(選択科目)

製造業、サービス業のオペレーションマネジメントの基礎を学ぶ授業。取り扱うケースは、病院、ハードウェアメーカー、ファッションリテールなど幅広。例えば、病院のケースでは、患者が来院してから治療を受けて病院を出るまでのフローの中で、どこにどんな無駄があるのかを特定し、どういった改善方法が考えられるかといったようなことをディスカッションする。ケースを扱う中で、Little’s Lawといった基礎的なフレームワークも学んでいく。この分野の経験がない人にとってベーシックなオペレーションの思考法を学ぶよい機会。

15.900 Competitive Strategy(選択科目)

ケースディスカッションを通して、Michael PorterのFive Forces等Strategy分野における代表的なフレームワークを学ぶ授業。毎授業ケースや参考文献の事前読み込みが求められる。ケースはNew York Times、Coca Cola、Lego、Honda等多岐に渡り、授業内で各ケースについての市場分析や事業戦略についての議論を行う他、3-4人のチームでケースについて議論し見解を書いて提出する課題がある。所謂MBA的な授業であり、コア学期の選択科目の中では最も人気。